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「そういえば、ソフトボールチーム作ったんだ」
 夕方に突然連絡が来て、うちの近くに引っ越してきた友人の家でサッカー観戦がてら飲むことになった。
 サッカーの観戦しながら、それでもCMの合間には野球に変えて、そのときふと友人がそう言った。そういえば前に誘われたことがあったな、とサンボルは目の前のビールを口に運んだ。
 近頃、先輩に誘われて行った山のぼりで体を動かして以降、運動したくてたまらなかった。きっと、だいぶ運動不足だったのだ。ちょっとしたものだったのに、あれから妙に頭が冴えてる気がするし。
「そういえば言ってたね。練習とかしてるの?」
「ん、今週末にやるよ……どう?来てみる?」
 ちょうど何も無かったので、様子見がてら参加することにした。


 前日まで雨だったのにも関わらず、その日だけびっくりするくらいの晴天だった。
「おーかっこいいね」
「でしょ?」
 練習の前にユニホームのお披露目会があるということで、ちょっと早めに集合場所に行った。
 本当にチーム作ったんだな、なんて当たり前のことを思いながら、ユニホームに袖を通す友人たちを見ていた。
「余ってるし、着てもいいよ?」
「……いや、ちゃんと動ける恰好してきたし、今日体験してみてからにするよ」
 サンボルはサッカー少年だったので、もちろんソフトボールは初体験だった。ルールは何となく分かるが、聞けば野球経験者もソフトボール経験者も居るようなので、正直全くついて行けないかも、とサンボルは思っていた。
 会場は近くの川辺のグランドだった。
 まだ人数も確定していないどころか、半分くらいはまだグローブも持っていなかったが、それでも練習だけは形になっていた。もちろん上手い人も居て、サンボルは足手まといになんとかならない程度だったが、それでもなんだかとても心が躍った。
 習い事や学校での部活など、強制的なスポーツばかりしてきたサンボルにとって、自分でやりたいと思い、その足で参加して体を動かすことなんて、今までほとんど無かった。
 いや、きっとそれだけでは無いんだろう。
「いくぞぉー」
「よっしゃーっ、来い」
 一人ではできない。周りの友人たちが居るから、きっと楽しめてるんだ。ゴロが取れずひとり特訓を受けながら、サンボルは思っていた。

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