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 政治スクール開講のイベントが終わり、裏で休んでいたとき、その老紳士は誰かに聞かれた質問に答えていた。
 力強く、揺るぎ無い口調。
 横耳に挟んだ話は、地元有力者の誰それが今度の選挙に出る、とかそういう話。
 選挙の仕組みすら知らないサンボルにとっては、何もかも新しい言葉ばかりだった。
 何を聞いたか正直思い出せないが、ふとした拍子に、その中の一つを質問した。
 老紳士は、優しく、丁寧に教えてくれた。
 そこでまた、もうひとつ質問をする。
 きっと馬鹿らしい質問だったのだろう、そばにいた中年の男性から呆れたような目を向けられたが、その老紳士は「学ぶときにきちんと学ぶという姿勢が大事なんだよ」とその男性を制し、真剣に講義をしてくれた。
「あら、もうさっそく講義を受けていたのね」
 どのくらい経ったのか、政治スクールの代表から声をかけられた。気がついたら老紳士の講義を聴くサンボルを、みんなが見守る形になっていた。
「まだまだ聞きたいこと、あると思うけど、そろそろ撤収しないと」
「いま真剣に講義してたのに、なあ?」
 老紳士は口をあけて、かっかと笑う。
「そうね。そうだ、今度、君のために座談会を開きましょう」
「……座談会?」
 これは政治の専門用語では無いのだろう、ということくらいサンボルにも分かった。おそらくサンボルの語彙力が無いせいだ。
「うちの事務所でどうかしら」
「え?ええ、もちろんです」
 政治についての勉強会、とサンボルは認識していた。
 幾多にも分かれた川の先に何があるのか、正確に知ることはできない。それが流れが早ければ、周囲の景色を見ている暇すらない。
 すでに、そして確実にその流れを早めていた。

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