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 言葉を失った。
 それが唯一の表現だと思った。
 忽然と現れた瓦礫の山。折れた電柱。枠だけになっている家。
 テレビで観るのと実際にその場に行くのでは、準備をしていたと言っても、頭を砕かれたような衝撃があった。
 サンボルはもちろん戦争は経験がない。それでも、まるで戦争のよう、と思う、そんな光景が一面に広がっていた。
 釜石にもバリケードはなく、すんなりと街に入ることができた。
 自衛隊の車両が通り、瓦礫を撤去すると思われる特殊な車両が行き来をするなか、サンボルたちは奥まで進み、大槌町を目指す。
「……これほどとは」
 潮の臭いと何かが腐ったような臭いが辺り一面を覆っている。
 こんな絶望を感じたことは、サンボルの少ない人生のなかでは、ない。
 震える膝を叩きながら歩くと、ふと、テレビの音が聞こえてきた。
 見ると、枠だけになった家で、家族が協力して掃除をしていた。そのテレビは、つい最近やっと電気が入ったために付けられたものだったようだ。
 日本人は、強い。
 本当に、強い。
「終戦して、ここらが焼野原だった。それでも日本はここまで強く成長した。大丈夫、今度だって絶対乗り越えられるから」
 暗い顔してるのは、安全なところにいる人間だけかもしれない。
 前を向く。
 それが自分にできる最前の支援だと、サンボルは思った。

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