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 人生の糸は、どこで交わるか分からない。
 いや、勝手に絡まっていることもある。ほんと、勝手に。
「最近、痩せた気がするよ」
「……相対的に、ね。まだまだムキムキじゃないですか」
 相変わらず、マッチョだった。
 学生時代、マッチョの先輩なんて勝手に名前つけていた、その先輩。
 奥歯に思いっきり物が挟まった言い方をすれば、とても光栄なことに、その先輩はうちの会社に就職したのだ。
「地震のとき、そういえば大丈夫でした?」
「あのとき新幹線で福島走ってて、そしたら、ドーンって。最初、何かがぶつかったのかと思ったよ」
 なんとも珍しい被災の仕方だ。
 まあ、そういうのに出くわしてしまうのが、その先輩らしさなのだが。
「それは、なんとも大変でしたね」
 そのまま新幹線の中に6時間も居たらしい。状況も分からずに真っ暗な中、新幹線に放置されるのは何とも不安だっただろう。
 いくら筋肉があっても、さすがに電気は起こせない。
「車内放送で、お医者様はいらっしゃいますか、って流れてね」
 そのあとで「思わず手を挙げちゃったよ」と言わなくて、本当に安心した。
「ほんとに流れるんですね」
「しかも、医者が居てさ。看護婦も」
 そういえば友人の医者が飛行機とかで、お医者様いらっしゃいますか、っていうのに手を挙げるのが夢だとか言っていたが、本当にそういうことって起こり得るんだ、とサンボルは思った。
 しかし看護婦とセットだったなんて、もしかして、もしかするのか。
「いや、彼ら本当にすごいよ」
 何が、とは聞かない。サンボルが想像していたような回答は、得られないだろうし、得たくない。
 想像というのは、思い描くものなのだから。
「新幹線中でもずっと見回ってたし、避難所に行ってもずっと診察してたし、あれぞ医者だなと思ったよ」
 当たり前、とは思わない。
 いざというときにその人の本当の姿が分かるというのは、今回の震災で分かった。
 医者がすごいのではなく、その人がきっとすごかったのだろう。
 どんなときでも人のことを考える、そのくらい大きな人になりたい、とサンボルは思った。

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