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「もちろん、そっち優先でね、会社は全然休んでもいいから」
「ありがとうございます」
 人は人とのつながりの中で生きている、と思った。
 東北出身者はウチの職場ではめずらしく、その上、最近かなり岩手に帰っていてその都度お土産を持ってきてたものだから、職場の中でもサンボルが東北出身なのは知れ渡っていた。
 なので顔をあわせる人みんな心配してくれていた。
 そのなかでも上司がとても心配してくれていて、そんなことを言ってくれたのだった。
 歴代の名演説家でも椅子から転げ落ちそうな、結婚式でのあの素晴らしいスピーチをもらい、この人のためならどこまでも頑張れると思った、その上司。
 それでいてこんな気遣いをするのだから、正直、ずるいと思う。
 ラボで一目置かれながら、ルールに縛られず、ミスをしても盾になってかばってくれたりもしたこともあった。なのに明らかに怪しい理由で休んだりもする。人間味にあふれる人ほど味があるというものだ。
 はたして自分はこんな風になれるのだろうか、とサンボルは図々しくも自分がリーダーになったときのことを思い浮かべたりしていた。
 上は、いつまでもいるわけでは無い。いずれは自分が上になり、その下がまたいずれ上になる。それが、ずっと続いてきて、それで自分がいるのだ。
 なんだかただっ広い平原にいる気分になって、ふと気がついた。
 たぶん、なれる、と。
「いま計画停電でこんな状況だし、心配しなくて良いよ」
「はい」
 きっと一人ではない。自分の周りには支えてくれる多くの人がいるのだから。

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