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 ちょっと敏感になりすぎてる感が無きにしもあらずだが、目に見えないものが怖いのはなかば本能だろう。
 その上、情報が不確かならなおさらだ。
 それを反映してか秋葉原の放射線測定器も完売したらしい。それを買って数値を見たところでどうするのか疑問なのだが。
「だから妻と子どもには外出禁止令を出してたよ」
「怖いですからね」
 電力削減要請にこたえるため、職場から追い出された帰りのバスの中では、そんな話で持ちきりだった。
 関西に実家がある人は家族をそっちに移したりしているらしい。なかには年度末の年休消化も含めて大阪に帰ってしまっている先輩もいる。だから朝に列車が空いているのかと、サンボルは朝の様子を思い浮かべた。
「そんなだからね、子どもに戦隊ものの雑誌買ってこいって言われちゃったよ」
「へえ……いまの戦隊って何代目なんですか?」
「それがね、記念すべき35代目でさ、なんと歴代のヒーローどれでも変身できるんだよ」
 サンボルはカーレンジャーとかジュウレンジャーあたりの世代だ。それらがまた見れるなら、正直そこだけ録画したい。しかし、借りてきた猫ならぬ借りてきたヒーローをかぶるなんて、なんともずるいヒーローだ、というのは口にしなかった。
「それは、まさかミキシンジャーとか」
「海賊戦隊ゴーカイジャーっていう名前だよ」
「海賊は……ワンピースにあやかってですかね」
 賊なのにヒーローなのか、という疑問は心でつぶやくだけ。いつでもヒーローは子どもに夢を与えなくてはならないのだから。
 というかレンジャーはいったいどこに行ってしまったのだろうか。
「うちのトイレには35代分のヒーローが載ってるポスターが貼ってあるよ」
「はは、それは壮観でしょうね」
「今度見てみると良いよ。日曜の朝にやってるから」
 子どものときは、どんな問題でもヒーローに頼めば助けてくれると思っていた。
 大人にとってのヒーローは、危険をかえりみず作業にあたっている、福島の作業員だろう。そう思って、冷たい北風の吹いてくる方向を見たのだった。

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